海の向こうで



「はあ、はあ…」



私は息を弾ませて逃げた。



「疲れた…」



私は公園のベンチに腰掛けた。



男子だからってのもあるだろうけど、大西海はすっごく足が速かった。



だから撒くのも大変だった。



脇道に入ったりとちょこまか逃げてようやく撒けたって感じ。



スマホを見ると、不在着信が3件。




大西海とはまだ連絡先は交換してないから全部お母さんからだけど。



…見つかんなきゃいいけど。



「ねえ」



と誰かに耳元で声をかけられた。



「へ…?」




振り向くと、ちょっと髪が茶色い男の人が立っていた。



「どこかから逃げてるの?息弾ませてるけど」



…何この人。



チャラそう。



目鼻立ちがはっきりしていて外国人みたい。そして雰囲気からしていかにも女の人に慣れてそうな人だ。



「あ、あの、大丈夫なんで」



私は控えめに遠慮した。



こういうのには近づかない方がいい。



なんとなく、そう思った。



「でも…あっ、海ー!」



え。



大西海、もう来たの?



てかこの人、大西海の知り合い?



私はダッと駆け出そうとしたが、なぜか茶髪のチャラ男に腕を掴まれた。



「ちょっと!離してよ!」




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