海の向こうで
なんでこんなラムネで真っ赤になるんだ…?
と思ってると、柚鈴がぷっと吹き出した。
「今頃こんなにピュアな子いるんだね〜!!ごめんちょっと笑うわ、、、あっははははは!」
ケタケタ笑いながら言う柚鈴。
なんでお腹押さえるくらい笑うの…⁉︎
え!
これそんなに有名なものなの…??
「…お前は知らなくていいから!しかもこれいらないし!」
慌てて恋音ちゃんにラムネを押し付け返す飛鳥。
「えー、そういう感じになったら使うべきでしょー」
「だから、いいから!」
何かよく分からないけど、ま、いっか。
「てか今日海は?」
と柚鈴。
「熱出して寝てる」
と私は答えた。
「朱里がわざわざ授業抜け出して行ったから、そこまで心配することないと思う」
「え〜…まじか」
と柚鈴。
「そしたら海甘えるかもな〜」
「え、なんで?」
私はびっくりして尋ねる。
「俺海が前熱出した時にお見舞い行ってやったんだけど…そしたら『父さん、父さん』って俺に抱きついてきたりしたからさ。あれはびっくりしたよ。今回もそうならないといいけど」
深刻げな表情をする柚鈴。
「逆に朱里だったらいいんじゃない?」
と私は言う。
「だって朱里、海のこと好きだし。手厚く看病してくれるでしょ」
「………そうだな」
柚鈴はクスッと笑った。
「そうだと、いいんだけどな…」
そのあとに発した柚鈴の言葉は、私だけでなくみんなの耳に届かなかった。