海の向こうで
「じゃあ飛鳥のことよろしくね〜」
「えーちょっと嵐くん!え、みんなも帰らないでよ〜」
「お気遣いだからいいじゃん。またねー」
結局みんなは帰ってしまった。
下にはだれかいるかもしれないけど、でもこの時間だったら多分知らない人というか…話したことがない人くらいしかいないだろう。
…もう、気遣いって言われても恥ずかしいって…!
もう一回飛鳥を見ると、すやすや眠っていた。
今日はなにも起きなさそうだな。
私は飛鳥をどうにかしてソファーに寝かせようとした。
けどやっぱり成人男性、重い…。
それに加えてこの人一番ばくばく食べてたからな…。
「わ」
しかも飛鳥がクッションと間違えて私に抱きついてくるし!
「え、ちょっと…や」
飛鳥の頭がこつんと私の肩に落ちる。
彼のサラサラの髪が首に当たってなんだかくすぐったい。
「痛っ…」
いきなり首に痛みを感じた。
「ちょっと、あす…か…?」
私が問うてみても、飛鳥はなんの反応も示さない。
ただ、すーすーと規則正しく寝息が聞こえるだけ。
…さっきの首の痛み、なんだったんだろう。
気のせいだったのかな。
いやでも、はっきり痛みを感じた…よね。