海の向こうで




え、飛鳥帰っちゃった…?



まさか。



私ここから家までの帰り方知らないんだけど。



さっきまで寝ていた場所に戻っても、誰もいない。



…幹部室に行ってみようかな。



あ、でも幹部室までの道のりがわかんない。



どうしよう。



私…知っているようで、何も知らなかった。



「あすか…っ!」



「ん?」



…え?



飛鳥はどうやら、ここの部屋のクローゼットにこもって着替えをしているらしい。



「…ごめん。さっき、ちょっと八つ当たりした」



と言うと、いきなりクローゼットのドアが開いて飛鳥が出てきた。



着替え、してない…?



「俺も。ちょっと八つ当たりして、隠れてみた」



「な、なにそれ…」



私は笑いそうになった。



こんなことで意地はって、どっちもおんなじようなことをするなんて。



< 179 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop