海の向こうで
え、飛鳥帰っちゃった…?
まさか。
私ここから家までの帰り方知らないんだけど。
さっきまで寝ていた場所に戻っても、誰もいない。
…幹部室に行ってみようかな。
あ、でも幹部室までの道のりがわかんない。
どうしよう。
私…知っているようで、何も知らなかった。
「あすか…っ!」
「ん?」
…え?
飛鳥はどうやら、ここの部屋のクローゼットにこもって着替えをしているらしい。
「…ごめん。さっき、ちょっと八つ当たりした」
と言うと、いきなりクローゼットのドアが開いて飛鳥が出てきた。
着替え、してない…?
「俺も。ちょっと八つ当たりして、隠れてみた」
「な、なにそれ…」
私は笑いそうになった。
こんなことで意地はって、どっちもおんなじようなことをするなんて。