海の向こうで
別に憐れんでるわけじゃない。
そういう人が少なからずいるのは前から知っていた。
けれど、…けれど。
ここまで身近にいることはなかったから、自分の周りの環境に感謝しなきゃなんて考えは湧かなかった。
「…私も、助けてもらったよ」
海と兄弟になって、暴走族の倉庫に連れて来られて最初は戸惑った。
けど、色々な人に会えて、そして少しだけかもしれないけど暴走族について知れて。
私が持っていた偏見は、あっという間に無くなった。
飛鳥ももしかしたら、同じだったのかもしれない。
だから暴走族に入らなかったんだよね?
…そうだったら、ちょっと嬉しいかも。