海の向こうで



「…海華」



そっと飛鳥の方を見ると、いきなり唇を奪われた。



え、き、キス…?



とりあえずされるがまま、目を閉じる。



でも、すぐに私たちの唇は離れる。



「…っ…」



きっと私の顔は真っ赤になっているだろう。



頬が熱を持っているのが自分でもわかる。



飛鳥にとっては、触れるだけのかわいいキスかもしれない。



でも私…キス初なんですけど…。



やばい。恥ずかしい。



手で顔を覆う。



「それは反則だろ」




と飛鳥。




「俺だって見せてるんだから、海華の顔見せてよ」




「見えないよ」




「見てみろよ」



私がそっと手を退けると、飛鳥のトマトみたいな顔が目の前にあった。



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