海の向こうで



飛鳥と付き合っても、大きなことは変わりはなかった。ただ、私と飛鳥の距離が縮まっただけ。だけって言っても、私はすごく嬉しい。



「てかお前、受験勉強してるの見たことないよな」



幹部室でぼーっとしていると、ふと飛鳥に言われた。




げ。



「高3だよな。行きたい大学とか決まったの?」




「…決まった、けど」




私は飛鳥から目を逸らす。




「行きたいところ、東京なんだよね」




東京になんて電車で行ったことないからよく分からないけど、ここから東京まで3時間ほどかかるんじゃないかな。



でも、最初にその大学の文化祭?みたいなものを見た時、ここがいい!と無条件に思ってしまったのだ。高2の頃からずっと、志望校は変えていない。



それに、お母さんとお父さんが東京に住むお金とかを出してくれるって言ってくれたし。



そのかわり海はここの近くから通える大学に行くらしい。



なんだか申し訳ないと思ったけど、海はここから通いたいらしく、まあどっちにとってもよい結果になるということでそう決まった。



でも、だったら飛鳥に簡単に会うことができなくなる。



これが俗に言う遠距離恋愛なのか…。




って、受かってもないのに言えることじゃないか。



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