海の向こうで




なんていちゃいちゃしながら、私は勉強に励んだ。



いや、いちゃいちゃしながらってのも微妙だけど。



ま、あの、えっとね、ご褒美をもらいながら、かな。



とか言ってるけどそこそこ頑張ったと思う。



これも飛鳥のお陰だと思う。



私が倉庫に行かなくなって、家で勉強するようになってからも頻繁に家に来てくれたりして、差し入れとかをしてくれた。



合格チョコとか、これを食べたら受かるアメとか、もっとたくさんある。



手当たりばったり買ってくるもんだから流石に途中で遠慮したけど。



だけど、彼の気持ちがすごく嬉しかった。




***




大学の共通テストにも、飛鳥が買ってきてくれた合格チョコやブレスレットを持っていった。



チョコは脳を活性化させるみたいだけど、エンジンがかかるのが遅くそれに切れるのがはやいと聞いたので食べられないけど。




でも、それはあるだけでお守りになった。それを握っておけば、なんだか不思議と心が落ち着いた。



それに、その時に気づいたことなのだが、合格チョコのパッケージの裏側には飛鳥からのメッセージが入っていた。



“がんばれ!海華なら絶対受かる!☺︎”



☺︎のマークはちょっといびつだったけど、それが可笑しくてくすっと笑ってしまった。



それに名前が入っているのが嬉しい。



そっと、“海華”の字をなぞる。



ふうと息を吐き、




「では問題を配布します」




ときびきびした口調で話す試験監督の声で私はキリッと前を見据えた。





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