海の向こうで




そんな感じで受けた大学入試だったが、第一希望には落ちてしまった。



けれど、第二希望の学校には受かることができた。それが分かった時、思わずお母さんに抱きついちゃった。



でも、その大学も東京にある。



まあつまり、ここの皆とはしばらくはお別れだということを示唆していた。



「今までありがとう!」



というわけで、私は桜龍のみんなに別れを告げた。



「海華さん、今までありがとうございました!」



え⁉︎



ぱんぱんとクラッカーの音が鳴る。




で、デジャヴ??




「飛鳥さんがしたいって」




下っ端くんの言葉にちらりと飛鳥をみると、彼は知らん顔をする。



「あすか…ありがとう」



「ちょ、ばか泣くなって」



飛鳥が慌てて私の涙を拭う。



「だっでうれじいじゃああん〜」



「声ひっど」




飛鳥がくすくすと笑う。




「こんな場所でいちゃつくなって」



と呆れた顔で笑う嶺夜。




その顔も、なんだかちょっと表情が出てきやすくなった気がする。




前はただ単に不満と呆れしかなかったけど、呆れだけでも表情が豊かになったっていうか。




「じゃあ隠れていちゃいちゃするのはいいってこと?」



と飛鳥。




「破廉恥だな」




「言葉古っ」




だって絶対嶺夜漢字ではれんちって言ってるでしょ。



私はれんちの漢字わかんないし。



使うとしたらカタカナでハレンチかな。



といってもハレンチなんて結構前の言葉だと思うけど。



少し前の漫画で見るイメージ。あんまり聞かない。




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