海の向こうで
***
「ん…」
目を覚ますと、私はベッドに寝かされていた。まだあの寒さは残っていて、髪も濡れているから私が意識を手放したときからここまでそんなに時間が経っていないのだろうと分かった。
「うみちゃん…」
近くには、簡易用の椅子に鮎斗くんが座っていた。
ということは、ここは桜龍の倉庫なのかな。
「なんで、夜の海に入ってたの…?俺が見つけられて引き上げられたからよかったけど、もう少し遅かったら、死んでたよ…?」
その言葉に、ちょっとだけ笑いたくなった。
「私ね、死のうとしてたの」
と言うと、鮎斗くんの黒色の目が大きく見開かれた。