海の向こうで





鮎斗くんは最初は私から少し目線を逸らしていたが、私が話している間に私とはっきり目が合った。


「俺、うみちゃんが好きだよ。だから死んでほしくない」



「ありがとう。私も好きだよ」



と言うと、なぜか顔を赤くさせる鮎斗くん。



「どうしたの、熱?」



私はそっと鮎斗くんのおでこに手を当てる。



…あったかいけど、熱があるわけじゃないな。



手を離した後、私はさっきより鮎斗くんの顔が真っ赤になっていることに気づいた。



「ごめん、そんなに私ほかほかしてる?」



おかしいな。手はまだ冷たいはずなんだけど。



「いや、そういうわけじゃないけど…」



まあ、いっか。



でも鮎斗くんはすぐに真剣な顔つきになった。



< 228 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop