海の向こうで



その週の土曜日は、かなり忙しかった。



私とお母さんが住んでいたマンションからここの家まで荷物を運んで来て、それで新たに配置していく。


どうやらこの家の2階には3つしか部屋がないらしく、私は空くんの部屋を使わせてもらうことになった。



もちろん、空くんは不満気だった。



「なんでおにいを追っかけ回してる女に俺の部屋を奪われなきゃいけないの」



と言われた時はカチンときたけど、でも部屋を奪ってしまったことに変わりはない。



それが申し訳なくて、



「ごめんね」



と空くんに謝った。



「別にー、俺おにいと寝れるからいいしー」



なんだこの子は。



ひねくれてんな。


まあでも、そこが可愛いけど。



< 42 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop