海の向こうで




嵐くんが私を睨んでいるのではないとわかり、少しホッとしながら嵐くんがみた方向を見てみる。



そこには、真剣な表情をした海がいた。



「…空が、連れて行かれた」



と海。



「空くんが…?」



きっと、私たちのことをこっそりつけてきたのだろう。



その時に誰かに攫われてしまったのかもしれない。



「これはオレの問題だから、オレが行く」



と海。



「オレがいないとき、嵐はここを守ってくれ」



「そんな、俺もいくよ」



と嵐くん。



「…これは、オレひとりじゃないといけないんだ」



と念を押す海。



海が持っている紙には、黒色のサインペンで乱雑にこう書かれていた。



< 57 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop