海の向こうで
“総長の弟は我が手にあり。桜龍の総長のみ来ること。他は許さない”
「ってわけで行ってくる」
「おま…雷神っつったらかなり強ぇぞ…」
と声を荒げる嵐くん。
私にはそこらへんはよくわからない。
「桜龍はこの県のトップじゃないからな。まぁトップ3に入るか入らないかくらいかな。雷神といったらトップ2くらいじゃないかな。かなり強いと思うよ」
いつのまにか鮎斗くんが側に来て、説明してくれた。
「へええ…」
でも、桜龍が3位なのか。
この族の喧嘩を見たことはないけど、かなり強いんだろうな。
いつか見てみたいな。
「それに雷神は汚い手を使うからね。こうやって無関係な人まで攫って平気で脅したりするから」
「え…?暴走族って、関係ない人を巻き込むのが普通じゃ、ないの…?」