海の向こうで
「鮎斗は努力の賜物だよ、って言ってもらえるように頑張りな」
「は、はい…っ」
努力すれば出来るようになる。
それは、本当なのか?
俺にはその話は到底信じられそうにもなかったが、とりあえず頷いておいた。
———
その日、家に帰ると珍しく父と母が喧嘩をしていなかった。
「ただいま」
ちょっと嬉しくなって、俺は母さんに駆け寄った。
「鮎斗」
母さんは真剣な表情をしていた。
「鮎斗はどっちについていきたい?」