海の向こうで
すると、飛鳥が近づいてきて、私の脇の下に手を入れる。
「はい、下ろしていいよー」
あー、そういうことか。
飛鳥は私を抱っこしたかったわけね。
飛鳥が私を持ち上げたときに私の頭がちょっとだけ飛鳥の胸らへんに触れて、その時に石鹸のいい匂いがしてちょっとドキッとした。
やっぱり、臭い香水の匂いより石鹸の匂いのほうが清潔だよね。
私をバイクに乗せると、飛鳥もひょいっと軽々とバイクに乗った。
「ちゃんと捕まってろよ。じゃ、行くか」
と飛鳥が言ったので、私は慌てて飛鳥の腰に腕を回す。
バイクはゆるやかに走り始めた。
「ゆっくりがいいんだっけ」
と飛鳥が尋ねてくる。
「ううん。飛鳥の走りたいスピードでいいよ」
と私は首を振った。
「じゃ、行くな」
と、いきなりスピードが上がった。