だから、言えない
第一章 探り合い


《お前が好きだ。
子供の時からずっと…》
《やだ!離してよ》
《離さない。絶対に》

いいなぁ。
私だってこんな風に
抱き締められたいなぁ。
できれば、村薗先輩に……くふふ。
さ、さ、早く次のページ!

《…私、翔と付き合ってるの》
《嘘だろ?なんであいつと…?》

えー!そういう展開?
って、ここで次巻へ続く?
やー!待てない!
今すぐ続きが読みたいぃ!

「ったく、また漫画か?」
ちょうどコンビニから帰ってきた
佐山(さやま)さんが、
私の席の横に立って、
袋をゴソゴソしながら言った。

佐山さんは背が高いから、
横に立たれると迫力がある。
「今日でた新巻です!」

ふーん、と言いながら
佐山さんは袋からシュークリームを出して、
私の弁当箱の横にポイっと置いた。
そして、自分の席、
つまり、私の正面に座った。

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