だから、言えない
片林さんがこの事を
話してくれたということは、
私にも佐山さんを
気にかけて欲しいということ
だとは分かるけど、
さっきの話を聞いても、
普段の佐山さんをみても思うことは、
佐山さんはきっと、
他人に面倒をかけさせたくない人
かもしれないってこと。
それに、私みたいな
年下の何にもできない女が、
佐山さんの為に出来ることなんて
そんなにない。
でも、片林さんの考えてることは
よく分かった。
これで、面倒くさがり屋の私が、
佐山さんの為に、
毎日弁当を作らない理由は
もう何もない。
その時、
裏口の扉がゆっくりと開いて、
村薗先輩が出てきた。
「ことちゃん?電話だよ」