だから、言えない


あぁ、
きっと私、
村薗先輩に嫌われたんだ…。

なんであのとき、
お酒を飲んでしまったんだろう?

なんで、塚尾さんを
警戒しなかったんだろう?

なんで、意識がなくなる前に
気づかなかったんだろう…。


私がもっとかしこければ、
村薗先輩に嫌われることもなかったのに。

忘年会の日に戻りたい。
やり直したい。

「ちょっと、竹本さん、
ぼーっとしてないで、
さっさと拭いてください!」

塚尾さんが大きな声で言った。

「塚尾!お前が悪いのに、
竹本に指図すんな!」
「だから、佐山さんが悪いんだってば!」


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