だから、言えない
優は浴衣を引っ張って整えると、
やっと、俺の方を向いた。
「ごめん…」
そして、苦しそうな顔で
俺をまっすぐに見つめた。
「許して…連。
俺は…」
優は何かを言いかけて、
口を閉じた。
「何だよ?言えよ」
「俺は…
あの時、連が話してくれた夢が……
あの夢を話してくれたときの
連か顔が…
忘れられなくて…」
夢?
俺の夢?
……
もしかして、俺たちが中学の頃、
河原で話したあの将来の夢の話?
「は?お前まさか…
あんなこと気にして…?」
「連…、
俺は君が大切だから…
君が好きな女の子に
好きだなんて言えないんだ」