だから、言えない


「俺、基本教室にいねぇからな」

これが連との最初の会話だったけど、
その後、体育の授業以外でも
話すようになった。

「なぁ、優って、
佐山と仲いいの?」
「友達だよ」
「えー、やめなよ、
あんなやつと友達とか。
あいつ、この前も駅前で、
警察に囲まれてたよ」
「それと、俺たちが友達だってことは
関係ないでしょう?」

クラスの皆は、
俺と仲良くしてくれたけど、
誰も連のことは理解してくれなかった。

皆が連と話しもせず、
ヤバイ人だと決めつけてたから、
連はずっと浮いてたんだと思う。


連は確かに、先生に反抗してばかりだし、
警察に補導されたり、
他校の生徒とケンカしたり、
色々やってたみたいだけど、
いつも俺を助けてくれるいい友達だった。


よく近くの河原で寝そべって、
空を眺めながら話したな。

「優、この前、
お前の親父が職員室に乗り込んでたろ?
吹奏楽部を辞めさせろとか言ってさ」

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