だから、言えない
「なんだ、竹本か。
どうした?」
「あの、カタログをとりに」
「だったら、ボケッとしてないで、
さっさと済ませろ」
「あ、はい…」
片林さんは私の前を通りすぎて、
そのまま階段を上がっていった。
気まずいな…
私が立ち聞きしてると
思われたかもしれない。
でも、立ち聞きするな!
とは怒られてないからセーフなのかな。
さっさと、カタログをとって、
上に戻ろう。
塚尾さんにも「遅いですよ。
ほんと竹本さんは、何とかかんとか……」
って言われそうだし。
目的のものを探していたら、
それは棚の一番上にあると分かった。
私の身長では届かないから、
本当は脚立を使ってとればいいんだけど、
脚立をわざわざ出してくるのは
面倒くさいから、
棚の一番したの段に登って…
そしたら、届く…
「おい、こらァ!」