だから、言えない

ごもっとも。


「ったくお前は…。
何かおろすのか?」
「あの包みを」
私は、取りそこねた物を、
背伸びをして指さした。

「これか?」
「はい!」

佐山さんは背伸びすることもなく、
簡単に包みを掴んで、
おろしてしまった。
佐山さんは背も高いし、多分腕も長い。
「すごいですね、佐山さん」
「…ほら、よ」

佐山さんから包みを受け取り、お礼を言う。
「佐山さんって背が高くていいですよね。
こういう時便利じゃないですか!
何cmなんですか?」
「185」
「ひょえー」

そりゃあ、届くわけだ。

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