だから、言えない
何とかして村薗さんとの繋がりを作ろうと、
SNSも探したし、
お姉ちゃんに、
村薗さんのバイト先や
所属サークルまで調べてもらったけど、
その辺りはなにもわからなかった。
多分、バイトもサークルも
してなかったのかもしれない。
もうだめかなと思ったけど、
運はまだあたしに味方した。
それは、村薗さんの就職先。
あたしはてっきり、
村薗さんはお父さんの会社に入るのだと思ってた。
でも違った。
街から離れた、小さな町の、
全然有名でもない中小企業に入ったと。
村薗さんの大学は、
一流国立大学。
就職だって、引く手あまただろうに、
なぜかよく分からない
小さい会社に入ったと、
大学でも噂になっていたみたいだった。
理由なんて、興味ない。
あたしにチャンスがあるってこと。