だから、言えない
「最近あの二人、親しげじゃない?」
飯田さんが言った。
「やっぱり…
飯田さんもそう思います?」
「うん。ここ一ヶ月、特に。
しかも、この前、見ちゃったんだよね」
飯田さんが口元に手をあてて
ヒソヒソ声で言った。
「村薗くんと塚尾が、
二人きりで駅前の居酒屋に入るとこ」
「え?」
「駅の裏でコソコソ待ち合わせしてたみたい」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。
僕、駅裏の古本屋に寄った後
たまたま二人を見つけてね。
で、ちょっと興味があったから、
後をつけてみた。
そしたら、二人で居酒屋に入ってったよ」