ある日、学校に監禁されました。 特別編
「隣町? こんな時になにしに来たんだ」


「こ、恋人に会いに……」


それがどれほどバカなことだったか、今になってようやく実感が湧いてきた。


警察官に止められたあの時、素直にやめておけばよかったのだ。


いまさら悔いてももう遅い。


それに、やっぱり太一には会いたかった。


「バカだなお前は。恋人からなにが起こっているのか聞いてないのか」


「聞きました! でも、風が人を殺すなんて、そんなこと……」


「あるはずがないと思って来たんだな」


田代さんは大げさな溜息を吐きだして言った。


あたしはそのまま黙り込んでしまった。


だって、風が人を殺すなんて一体誰が信じるだろう? 


あまりに現実からかけ離れている話だ。
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