ある日、学校に監禁されました。 特別編
昔はここに井町高校のプールが建っていたと聞いたことがある。


「あの、入口まで行ってもらえませんか?」


空地は校舎の間裏に位置しているので、ここから井町高校の昇降口まで行くには、校舎をグルリと一周しなければならない。


敷地内へは裏門から入れるけれど、校舎内へ入るためには表に回る必要がある。


「どうして?」


田代さんの質問に戸惑った。


「どうしてって……ここはまだ少し遠いし……」


「ここまで連れてきてあげたのに?」


その言葉にはなにか含みがある気がして、あたしは田代さんへ怪訝な表情を向けた。


そこにあったのは男の顔だった。


さっきまでの親切な顔はどこかへ消えて、今はあたしをなめまわすように眺めている。


それに気がついて咄嗟に逃げようとしたが、安易にドアを開けることもできなかった。
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