値札人間
☆☆☆

勉強会が終わってから、あたしとヤヨイの関係は更に深いものになった気がした。


昼休憩時間、あたしはヤヨイたちと一緒にお弁当食べていた。


「イツミ、またやってるね」


振り向いてみれば、イツミがアマネのお弁当箱をゴミ箱へ捨てているところだった。


アマネ本人はトイレにでも行っているのか、教室内に姿はなかった。


どうしてお弁当箱を机に出してトイレに行ってしまうんだろう。


自分がイジメられっ子だという自覚がないのかもしれない。


あたしだった、教室から出るときは必ず鞄を持って移動するだろう。


でも仕方がない。


アマネにはそんな機転がなく、だからこそイジメられているのだから。


やがてアマネが教室へ戻ってくると、あちこちからクスクスと小さな笑い声が聞こえてきた。


アマネは自分のお弁当箱がなくなっていることに気が付き、机の中や鞄の中を確認している。


しかし、どこにもあるはずがない。


アマネのお弁当箱はごみ箱の中なのだから。
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