値札人間
その言葉にあたしは納得した。


あたしは確かに最近勉強もスポーツも頑張っている。


でもそれは自分の数値を高めるためだ。


自分の価値を上げることで、もっともっといい出会いがあるかもしれない。


高校を卒業した後にだって、色々と役立つことはあるだろうし。


「それは人間関係を改めたからだよ」


「え?」


「今までは学級委員長のヤヨイや、バレー部のアキホと仲良くすることなんてなかった。だけど、みんなと仲良くすることで色々なことを吸収できるようになったの」


「それはいいことだと思うけど、その分アマネと距離ができてないか?」


ゴウの言葉にあたしはため息を吐きだした。


またアマネの話か……。


「仕方ないよ。アマネは誘っても付いてこないんだもん」


あたしはスラッと嘘をつく。


本当は、アマネを誘ったことなんて1度もない。


アマネが一緒だと勉強ははかどらないし、スポーツだってお話にならない状態になる。


あたし自身が成長するチャンスをアマネに取られてしまうことになるのだ。
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