値札人間
「これはまだ画像だし、加工したものだってみんなわかってる。だけど、エスカレートしたらどうなるかわからないぞ?」


確かに、ゴウが言うような懸念があることは間違いないだろう。


「でもさ、それってあたしたちに関係ないよね?」


アマネの話をすぐに切り上げたくて、あたしはついそんなことを言っていた。


ゴウが驚いた表情を浮かべてあたしを見つめる。


「本当にそう思ってるのか? あれだけ仲が良かったのに?」


「そうだけど、アマネが勉強もスポーツもできなくて、クラスから浮いてたのって昔からだったよ? あたしたちが一緒にいてあげたから、今までイジメられてなかっただけ」


歩きながら話をしていると、甘い香りが鼻を刺激した。


一瞬立ち止まってどんなお店か覗いてみたいと考えたけれど、ゴウがあまりに鋭い目をこちらへ向けているので、とてもそんなことを言う雰囲気じゃなかった。


せっかくのデートなのに、アマネのせいで台無しだ。


「アンリが一緒にいてやれば、イジメられなくて済んだんじゃないのか?」
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