値札人間
「そうかもしれないね? だけどあたしはあたしの人生があるの。アマネのために自分の人生を台無しにするなんてありえないよね?」


あたしは間違ったことは言っていないはずだ。


あたしは自分のために、付き合う相手を選ぶようになった。


それはごく自然なことだ。


「でも、友達だったのに……」


ゴウはまだ納得いっていない様子だ。


「成績の悪い友達より、成績のいい友達が欲しい。スポーツができない友達より、スポーツができる友達が欲しい。そう思うことって、そんなにおかしい?」


あたしの質問にゴウは黙りこんでしまった。


「今アマネと一緒にいたら、あたしまでイジメられる」


「そうだな……」


ゴウがため息を吐き出して頷いた。


ようやく理解してくれただろうかと喜んだ時、電信柱のカゲからアマネが現れたのだ。


あたしは驚いて目を見開く。
< 140 / 226 >

この作品をシェア

pagetop