値札人間
あたしは一歩前へ踏み出し、アマネへ向けて敵意をむき出しにする。


「どうしても……アンリの気持ちが知りたくて」


アマネの声は今にも消え入りそうだ。


しかし、その目はしっかりとあたしを見据えている。


まるで、あたしが悪いことをして咎めているような視線だ。


「あんたのやってることって最低だよ」


冷たく言い放つとアマネは目を見開いてあたしを見つめた。


「アンリなら、助けてくれると思ったのに……」


「そんなこと言われたって知らないよ。あたしはアマネの奴隷じゃないんだから」


「おいアンリ、そんな言い方ないだろ?」


ゴウに言われて、あたしはふくれっ面をしてそっぽを向いた。


とにかくデートを台無しにされたことが腹立たしかった。


ゴウもゴウだ。


2人にとって特別な日にアマネを呼ぶなんてひどい。
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