値札人間
「う、ううん」


あたしは慌てて左右に首を振り、自分のスマホを取り出した。


まさか本当に番号交換をしてくれるなんて思ってもいなかった。


「ありがとう。じゃあ、また明日ねアンリ」


笑顔で手をふり、鞄を取りに教室へ戻るイブキ。


あたしは夢の中にいるような気分で、その後ろ姿を見送ったのだった。
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