値札人間
ハッとして上半身を起こし、確認する。


表示されていたのはゴウからのメッセージで、正直拍子ぬけしてしまった。


《ゴウ:今日、ずっと上の空だったけどなにかあった?》


あたしを心配してくれているゴウに胸の奥が熱くなるのを感じる。


でも、イブキの笑顔を見た時のようなトキメキは感じなかった。


ゴウとは幼馴染でずっと知っている関係だから、余計にドキドキしにくいのかもしれない。


《アンリ:大丈夫だよ。ちょっと授業が難しくて悩んでただけ》


あたしは適当な嘘をついて返信した。


すると、ゴウからまた返事が来る。


《ゴウ:そっか。あんまり無理すんなよ!》


ゴウはあたしとイブキの関係なんて少しも気にしていない様子だ。


イブキは今日転校してきたばかりだから当然かもしれないが、あれだけの人気があってなにも感じないのだろうか?


一瞬、ゴウはイブキについてどう思うかメッセージで聞いてみようかと思ったが、すぐに考え直した。


わざわざ自分から思わせぶりなことをする必要はない。


あたしはスマホを投げ出して大きく息を吐きだしたのだった。
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