値札人間
☆☆☆

「ねぇ、イブキ君といつの間に仲良くなったの?」


少しキツイ口調でそう聞いてきたのはイツミだった。


イブキが教室から出ていったタイミングで声をかけてきている。


「さぁ……いつの間にか、かな?」


あたしは適当に返事をする。


イツミの価値は今やクラス最下位だ。


会話をする価値もない相手。


本人はそんなこと全く気がついていないようで、いつものように自信に満ちた表情を浮かべている。


知らぬが仏とはこのことだ。


「なにそれ。あたしたちみんなイブキ君と仲良くなりたいと思ってたのに!」


「そんなこと言われても困るよ。だいたい、誰と仲良くなるかはイブキが決めることでしょう?」
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