値札人間
そこまで考えたとき、スマホが震えた。


一瞬イブキから連絡が来たのかと思って緊張した。


しかし、画面を確認するとそれはゴウからのメッセージだったのだ。


あたしは落胆しつつ、メッセージに目を通す。


《ゴウ:今日もなんだか上の空じゃなかったか?》


その文面に思わず笑ってしまいそうになった。


ゴウはまだあたしのことを心配してくれているようだ。


そうだよ。


ゴウの言うとおりあたしは今日も上の空だった。


授業だってなかなか身に入らない。


だってあのイブキがあたしの手を握り締めてくれたんだから。


そう言えたらいいのかもしれない。


でも、さすがにそんな風にメッセージを送ることはできなかった。


「ごめんねゴウ。あたしに相応しいのはゴウじゃなかったみたい」


スマホへ向けてそう呟き、あたしはゴウからのメッセージを無視したのだった。
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