値札人間
「ゴウ君とアンリは幼馴染で、ずっと仲が良かったんだよね? それなのに、どうして別れることになったの?」


「う~ん……。長く幼馴染でいたからかな? 恋人になると、なんか違うっていうか……」


適当なことを言っても、ヤヨイは「なるほどぉ」と深く頷いた。


「で? 今度はイブキ君と付き合うの?」


突然そんな風に聞かれて今度はあたしが驚いた。


目を丸くしてヤヨイを見つめる。


「どうしてそう思うの?」


「みんな噂してるよ? アンリとイブキ君はいい雰囲気だって」


「嘘でしょう?」


確かにあたしはイブキを狙っているし、気に入られるために一生懸命だ。


でも、そんなにいい雰囲気になれていると思ったことはなかった。


「気がついてなかったの? イブキ君、女子の中じゃアンリにだけ自分から話しかけてるんだよ?」


「そうなんだ?」
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