値札人間
イブキは相変わらず笑顔をこちらへ向けている。


「何かおいしいもの食べに行こう?」


「食べにって……外に?」


その質問にイブキは当然のように頷く。


「イブキと2人で?」


「そうだよ?」


それってデートじゃないか。


そう思うと頭の中が真っ白になった。


あのイブキがあたしをデートに誘っている?


夢じゃないかと思い、自分の頬を強くつねった。


痛みが全身にかけぬけて、夢ではないと理解できた。


「じゃ、また連絡するから」


「え、あ、うん」


あたしは慌てて頷いたのだった。
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