値札人間
本当は聞かせる気ではなかったが、今考えが変わった。


あたしはバッチリ録音されているイツミからの罵倒をすべてイブキに聞かせることにしたのだ。


「なんだこれ……」


録音を聞きながらイブキは顔をしかめた。


「イツミはこんなヒドイことをアンリに?」


そして、不安そうな表情をこちらへ向ける。


「うん。でもあたしは大丈夫。このくらいのことで傷ついたりしないから」


あたしはイブキを安心させるために笑顔で言った。


「でも、こんなのひどい……」


「イツミとはできるだけ距離を開けた方がいいよ? なにをするかわからないから」


「そうだな……。それより、俺のせいでこんなこと言われたんだよな? 本当にごめん!」
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