値札人間
ニュース番組
朝起きて、昨日のことは夢だったのではないかと勘ぐった。


それからスマホを取り出してイブキからのメッセージを確認する。


《イブキ:これからよろしくね。俺の彼女さん♪》


ネコサンスタンプと共に送られてきているメッセージを何度も確認し、そして昨日の出来事が現実だったことを理解した。


あたしは胸の前でスマホを抱きしめて大きく息を吐き出した。


あたしはイブキの彼女になったんだ。


クラスでトップの価値をもつイブキと付き合っているのだ。


その実感はジワジワと胸の奥からせり上がってきて、優越感として全身を駆け巡った。


自然と笑顔になり、やがて笑い声が漏れていた。


「あはは! やった、やったよ! あははははは!」


自分の数字が自分で見られないことが悔しいが、仕方がない。


「ちょっとアンリなにしてるの?」


部屋の外からお母さんの声が聞こえてきて、あたしはすぐに笑顔をかき消した。
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