値札人間
クラス中から笑い声が聞こえてくる。


それはただの笑い声だとは思えなかった。


価値が見えるようになったからだ。


みんな、あたしの価値を見て笑っているんだ!


通りすがりのサラリーマンも、ハイヒールの女性もそうだったに違いない。


「でもねアンリ。価値の高い人間と一緒にいたからって、自分の価値まで上がるわけじゃないよ?」


アマネがあたしを見て笑いながら言う。


その言葉にあたしは再び額に手をあてた。


あたしは自分の価値を知らない。


だけどみんなには見えている。


そしてみんなはあたしを見て笑っている……!


「あ、あたしの数字はいくつ……?」


尋ねる声が震えた。


アマネはニヤついた笑みをこちらへ向けるばかりで答えない。
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