値札人間
その笑顔を見ていると怒りという感情が湧きあがってくるのを感じた。


アマネなんて最初はクラス最下位の数字だったくせに!


あたしが一緒にいなければ、イジメを跳ね返すこともできないくせに!!


「教えてよ!」


そう怒鳴ったとき、イブキが心配そうな表情で近づいてきた。


「アンリ、どうした?」


眉をよせ、本当にあたしを心配してくれているその表情に一瞬たじろいだ。


「イブキには、見えてないの?」


「見えるってなんのこと?」


首を傾げるイブキ。


「デートの時、花粉症みたいになってたよね?」


「あぁ。でも、それはすぐ治ったよ?」


イブキはケロッとした表情で答える。
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