値札人間
でも、もし家に帰って両親にも数字が見えるようになっていたら?


あたしの数字を見て落胆してしまったら?


今度はそんな不安が生まれてきた。


「どうしよう……どこへ行けばいいの?」


周囲を見回してみても、あたしの行き場はどこにもないような気がした。


学校にも家にもいられない。


街へ出ても、きっと誰かがあたしの数字を見ることになるだろう。


不安で汗がにじみ出してきた。


足が小刻みに震えて、立っているのもやっとだ。


「アンリ!!」


声をかけられて振り向くと、そこには息を切らしたイブキが立っていた。


「イブキ、どうして……?」


「様子がおかしいから追いかけて来たんだよ。本当に、どうしたの?」


イブキは心配そうな顔であたしを覗き込む。


あたしは咄嗟に視線を反らせていた。
< 212 / 226 >

この作品をシェア

pagetop