値札人間
「イブキには……本当に見えてないんだよね?」


「だから、見えてるってなんのこと? ちゃんと説明してくれないと俺わからないよ?」


「……わかった。ちゃんと説明する」


それからあたしとイブキは近くの公園へ来ていた。


時間が早いから公園に子供たちの姿はない。


2人でベンチに座ると、あたしは恐る恐る額の数字について説明をし始めた。


「なにそれ? ちょっと待って、俺もネットニュース見るから」


イブキはあたしの話を途中で遮り、スマホを確認し始めた。


その表情はみるみるうちに驚きへと変化している。


「人の価値が見えるようになる植物なんて、本当にあるんだ……」


「うん。だけど、自分の価値は自分で確認することができないの」


「なるほど。それで気にしてたのか」

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