値札人間
☆☆☆

今日はとてもいい天気だった。


空には雲ひとつなくて気持ちがいい。


イブキはあたしの隣を歩きながら頻繁にスマホを気にしている。


「ねぇ、誰かからメッセージでも来てるの?」


「うん。友達」


イブキはニコッとさわやかな笑みを浮かべて頷く。


「ねぇ、こっちに行こう」


不意に手を握られて露地裏へと入っていく。


「どこに行くの?」


路地裏にあるのは飲み屋街で、今はどこのお店も閉まっている。


「こっちこっち」


イブキがあたしの手を握ってどんどん歩いて行く。


どこへ連れていく気だろう?


そう思ったとき、イブキが立ち止まって振り向いた。
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