値札人間
「あ、アマネ、大丈夫?」


額の数字に捉われ過ぎて、アマネが悪口を言われたことに気がつくのが遅くなってしまった。


「大丈夫だよ。慣れてるし」


そう言うアマネの表情は辛そうだ。


「イツミは誰に対してでもああなんだから、気にしちゃダメだよ」


「わかってるよ。万年成績ビリっていうのも、嘘じゃないしさ」


自虐的に笑うアマネを慰める余裕もなくなってしまいそうだった。


本当にみんな、額の数字が見えないのだろうか?


「ねぇアマネ、ここになにか見えない?」


あたしは自分の前髪をかき上げて聞いた。


「なにって、おでこ?」


「そうじゃなくて……ラクガキとか?」


その言葉にアマネは首をかしげ、キョトンとした表情になってしまった。
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