値札人間
あたしは鞄の中からお弁当箱を取り出した。


もちろん、ゴウの誘いはオッケーだ。


でもそうなると、いつも一緒に御飯を食べているアマネのことが気になった。


チラリと視線を向けてみると、今までの会話が聞こえていたようで不器用なウインクをして見せてきた。


「あたしのことは気にしないで?」


口パクでそう言われて、あたしは頷く。


ゴウと2人で教室を出ようとしたその時だった。


「2人してどこに行くのぉ?」


と、いつのも甘ったるい声色でイツミが声をかけてきた。


「食堂だけど?」


ゴウはそっけなく返事をする。


あたしはその様子をハラハラしながら見つめていた。
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