値札人間
ここでイツミに向けて文句を言えば、あたしとアマネに対しての風あたりは更に強くなるだろう。


それがわかっているから、言いたい言葉を飲み込んでしまうのだ。


「イツミ。良かったあたしと一緒にご飯食べない?」


後ろから声をかけてきたのは、なんとアマネだ。


あたしは驚いてアマネを見つめる。


「はぁ? なんであたしがあんたなんかと一緒にご飯食べなきゃなんないの?」


イツミはあからさまに嫌そうな表情になった。


「今日はアンリがゴウと一緒にご飯を食べるから、あたし1人で寂しいの。ね、いいでしょう?」


アマネはイツミの手を握り締めている。


あたしのためにここまでしてくれるとは思っていなくて、胸が熱くなるのを感じた。
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