値札人間
☆☆☆

食堂内はとても賑わっていた。


「ここでお弁当を広げるのってなんか申し訳ないね」


あたしは自分のお弁当箱を見下ろして言った。


アマネとイツミの2人もお弁当持参だ。


「本当だね……。でもほら、あそこにもお弁当広げてる子がいるし、きっと平気だよ」


そう言われて視線を向けると、確かに他にも数人お弁当を広げている生徒の姿があった。


自分たちだけじゃないことがわかり、ひとまず安心した。


「先に座ってて、俺なにか買ってくるから」


ゴウの言葉にイツミがかわいらしく「はぁい」と返事をしている。


もしかしたらあの2人ははたから見たらカップルに見えるかもしれない。


そう考えると胸の中に嫌な感情が湧き上がってくる。


「アンリはここに座って」


アマネに促されて座ったのは2人かけのテーブル席だった。


「え? アマネも一緒に食べるでしょう?」


「あたしとイツミはこっちで食べるから平気」


そう言い、アマネは隣のテーブル席に座った。
< 48 / 226 >

この作品をシェア

pagetop