値札人間
☆☆☆

「アンリ、どうしたの?」


2年A組の教室へ入ると、真先に友人の藤原アマネがあたしに駆け寄ってきてくれた。


畑を歩いてから今までずっと涙と鼻水は止まらないままなのだ。


まるで花粉症みたいな症状に、頭が痛くなってきていた。


「なんか、よくわかんないんだよね」


返事をしながら教室の時計へ視線を向ける。


走ってきたため、ホームルーム開始まであと10分ある。


あたしはホッと胸をなでおろして自分の席へ向かった。


「花粉症?」


アマネの質問にあたしは首を傾げる。


「学校へ来る途中で突然涙と鼻水が出るようになったんだよね」


「あぁ~、じゃあそれ花粉症だよ。花粉症ってある日突然発症するって言われてるし」


「そうなんだ?」


あたしは顔をしかめて聞き返した。


今まで花粉症とは無縁の生活を送ってきたので、その辛さを知らない。


アレルギーとなると、薬を飲まないといけなんだろうか?


そんな心配をしている内にホームルーム開始を知らせるチャイムが鳴ったのだった。
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